第28回 紫外線で毛髪はどう変化しますか?

質問
日増しに日差しが強くなってきましたが、直射日光に当たることで皮膚は赤くなったり黒くなったりし、髪の毛はパサパサしてきますが、ハゲることはありますか?日光でどのように変化するものでしょうか?日焼けを防ぐにはどうすれば良いですか?
(長野県 T・Y次 22歳)

回答
 太陽光線中の紫外線についてですが、地上に届く290〜320nmをUV−B(UltraVioIet・B波)、320〜400nmをUV−A(A波)と言い、さらにほとんど地上には届かない290nm以下を∪∨−C(C波)というように分類されており、波長の短い光ほどそのエネルギー量は大きく、生物に与える影響も強くなってきます。(1nmは100万分の1mm)
 一般に紫外線量は3月頃から多くなりはじめ、5〜7月にピークになり、1日のうちでは午前10時から午後2時頃までが最
も多くなります。
 B波は、海水浴の後に赤くヒリヒリを起こしますが、主に肌表面の表皮に作用し、その作用は急激でサンバーン(皮膚に炎症、紅斑を起こす)を起こさせ、2、3日後赤みがひいた後にメラニン色素の沈着によりサンタン(2次黒化)が起こり、しみ、そばかす、乾燥の原因になったり、真皮内の弾力線維や膠原繊維を増加変質させます。
  急激に強い紫外線を受けると一種の火傷の状態を起こしますので、皮膚の働きが低下し、その結果、一時的に脱毛に発展しやすくなります。
 A波は皮膚の真皮層まで到達し、雲や霧、窓ガラスも透過し、知らず知らずのうちに長い間浴び続けることにより、既存のメラニン色素がより黒くなり、しだいに色素沈着が起こったり、B波の悪影響を増大させるようになります。
 毛髪は屋外で紫外線を受けると最も影響が強く、自己修復機能を持たないためダメージを受けるとそのまま損傷が蓄積されてしまいます。
  紫外線を受けると毛髪の構成アミノ酸中のシスチンが分解され、引っ張り強度が低下したり、水分を保持する毛髪中のタンパク質が破壊されるためバサツキが起こったり、過剰の紫外線を受けるとラジカルの作用によりメラニンが酸化分解され、髪が赤茶けた色になったり、キューティクルの損傷や根毛、切れ毛に発展しやすくなります。
 このキューティクルの損傷の特徴は、紫外線の場合はキューティクルの「めくれ上がり」が観察されますが、パーマやカラーリングなどの損傷ではこの現象はほとんど見られません。
 毛髪のための∪∨ケアですが、肌用のように急激に損傷が起こる訳でないことと、SPFやPAのように数値化した基準のものはありません。なるべく日光を避けることが大切ですが、強い紫外線を浴びる場合はUVケア用の乳液やクリームな
どを肌だけでなく頭皮や髪にも塗っておくことをお勧めします。
 (板羽 忠徳・全理連中央講師)

参考資料
●SPF値(Sun Protect Facter)
 化粧品が、紫外線B波(∪∨−B)による皮腐の紅斑を防止する力の度合いを表す数植で、数値が大きくなるほど防止効果は高くなり、SPF20は、肌に到達する∪∨−Bを1/20にするというもので、肌に何も塗らないと夏の海岸などでは、一般的に約20分間で日焼けしますが、20分×20(SPFの数値)=400分(=6時間40分防げる時間)で初めてその症状
が現れてきます。
●PA(Protection Grade 0f UV−A)
 紫外線A波(∪∨−A)により色を黒くする変化が起こるまでの時間をどれくらい延ばせるかを示したものです。
「+」  2倍〜4倍に延ばす
「++」 4倍〜8倍に延ばす
「+++」8倍以上に延ばす
●紫外線の障善を軽減
 緑黄色野菜に含まれるリコピン(トマトに含まれる赤い色素など)や、ベータカロテン、ゼアキサンテンなどカロテノイドに、紫外線による皮膚への害を軽減する作用のあることが、カゴメ総合研究所と徳島大医学部の寺尾純二教授の動物実験で確かめられています。
 マウスに100g当たり各種カロテノイドを50mg添加した餌を3週間食べさせた後に背中の皮膚を採取し、紫外線を4時間照射した結果、カロテノイドを与えなかったマウスの皮膚は過酸化脂質が増え、抗酸化作用を持つタンパク質が減少していたのに対し、カロテノイドを与えたマウスは、過酸化脂質の量や抗酸化タンパク質の減少が抑制されており、 カロテノイドに紫外線から皮膚を守る作用のあることが確認されたと言います。

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