第37回 頭皮マッサージの力加減を教えて下さい。

質問
私は最近頭皮マッサージをはじめたばかりで、力加減がよくわかりません。一番つっぱって硬い部分は、少しの力でマッサージすると若干痛いのです。こういう部分は多少痛くてもマッサージを続けるべきでしょうか?大体の力加減を教えて下さい。
(岩手県 I・K介 18歳)

回答
 マッサージや指圧などの 力加減を言葉で説明するのは非常に難しく 、学校や講習会などで教える時にも苦労するところです。
 マッサージの歴史は古く、ヒポクラテスの時代(BC4〜5世紀)の医術にもとり入れられており、「皮膚の上から力学的な刺激を加えて生体反応を引き起こし、それによって体の変調を整え、病気の予防や健康増進に役立てる技術」として体系化されていました。
 生体に及ぼす効果というのは大きく分けて 機能昂進効果と機能抑制効果 、つまり「興奮作用」と「鎮静作用」が現れますが、どちらが現れるかというと刺激の強さ、刺激の度合い、刺激の継続時間などにより変わります。
  刺激が強ければ強いほど機能の抑制効果は高まり、刺激が弱ければ弱いほど機能の亢進効果が高まる というもので、「アルトン・シュルツの法則」と呼ばれています。
 弱い刺激は生命活動を活性化し、中程度の刺激はこれを促進し、強い刺激はこれを阻害し、強すぎる刺激はこれを停止させてしまう。というもので、刺激継続時間は長いと抑制効果が高まり、短いと亢進効果が高まってきます。
 たとえば肩コリなどで筋肉や筋が硬くコッているような場合は、やや強めの刺激を短時間与えますが、頭の場合は頭頂部には筋肉がありませんので、血行不良が起こっているような場合は弱めの刺激を長時間行います。力を入れれば効果的と思ってギュッギュッと強くやってしまうと、毛細血管を切ってしまったり、組織を破壊してしまうような事も起こることがあります。
 学校などで指導するときにはヘルスメーターなどを母指で押させて5kgとか3kgの力加減を体験させたりもしますが、刺激を受ける感覚は人によって違うため、ある人には丁度良くても、別の人には強すぎたり、弱すぎたりすることがありますので、最終的には技術者とモデルにそれぞれ同じにやってみせて体感させることをします。
 一応の目安として、刺激を5段階に分け@さわるだけ=刺激はほとんど0A軽く弱く押す=気持ちが良いと感じる程度B適度に押す=少し痛いと感じる程度C強く押す=かなり痛いが我慢できる程度D強烈に押す=我慢できない……とします。 人により感じ方は違いますので、A〜Cを適宜使い分け、 痛いけれど気持ちが良い「イタキモ」の状態が良いでしょう。
(全理連中央講師 板羽忠徳)

参考資料
  育毛を行う時のマッサージの基本的手法 です。リラックスした状態でやってみましょう。
●軽擦法(接撫法、なで方)
 手のひらや指などを肌にぴったりとつけ、なでたり、さすったりする方法です。血管やリンパ管、経絡に沿いながら行います。
●揉捏法(もみ方)
 筋肉を対象とする方法で、筋肉をしっかり握りながら圧を加えます。輪状か楕円形に動かしながら揉んでいきます。
●叩打法(たたき方)
 手の関節を軟らかくして、手の色々な部分を使ってリズミカルに叩く方法です。頭部には、指先を使った「指頭叩打法」も有効です。
●振せん法(ふるわせ方)
 手のひらや指先を使って軽く押しながら振るわせ、リズミカルな振動を与える方法です。
強擦法(按撫法、もみ・こね方)
 この方法は、軽擦法と揉捏法を同時に行なうような方法で、肌をなでながら 揉みこみます。おもに母指、示指、中指の3本を使い、こねるようにして揉みす。
●圧法(おし方)
 手や指のいろいろな部分で圧迫をする方法で、指圧と同じような方法です。圧迫して、ゆるめて、圧迫して、ゆるめて・・・、を繰り返す「間けつ圧迫法」と、同じところを3〜5秒間くらいじっくり圧する「連続圧迫法」などがあります。
 マッサージが終ったら、軽く2、3回 首を回しておくようにします。大きく背伸びもしてみましょう。その他、身体の調子の良くないところや、こっているところもマッサージすれば、体全体の健康にも有効です。

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