第45回 パーマ液はどのような基準で選べば良いですか?

質問
髪の毛を傷めないためには毛髪診断が大切で、毛質によってパーマ液を変えたほうが良いと言われていますが、どのような基準で選べば良いのでしょうか。その他に注意したほうが良いものも教えてください。
(埼玉県 T・E夫 理容師21歳)

回答
 過去にはパーマネントウェーブ用剤には強力、標準、ソフトというようにボトルに表示がしてあり、強くかけてほしい人には強力、弱めにかけたい人にはソフトの薬剤を選ぶというように教わったものでしたが、今から考えればこの選び方は根本的に間違っていると言えます。
 ウェーブやカールを強く出したり、ゆるくするのは薬によって加減するのではなく、ロッドの太さや技術で加減しなければなりません。
 太いロッドを使用して強力の薬剤を使ったとしても、そのロッドの太さよりも細かなカールやウェーブをつくることはできませんので、強くかかりませんし、細いロッドを使ってソフトの薬剤を使用しても、必ずしも大きなカールやゆるやかなウェーブにはならないのです。
 同じ1剤を使用しても毛髪の状態が違うと、早く還元されて軟化する毛髪、なかなか軟化しない毛髪があり、染毛や脱色をした毛髪はほんの数分で溶けるように軟らかくなったり、太い毛髪はなかなか軟化しにくいというように、1剤の働きは毛髪の質との関連性によって変化します。
 たとえ標準のタイプの1剤だとしても、毛髪にはウェーブ効果が半分以下のソフトタイプのように働いたり、ある毛髪には強力タイプのパワーをもってしまうような場合もあるのです。
 薬剤の選定は毛質に合わせることが原則で、これを誤るとかかりが悪かったり、損傷や断毛などを起こすことがあります。
 細い髪や軟毛、染毛やパーマをかけた髪のような損傷毛には、チオグリコール酸濃度の低いもの、アルカリの量の少ないもの、ぺーハーの低いもの、トリートメント成分の多いものなどを使います。このような毛髪はシスチン含有率が少ないため弾力のないウェーブに仕上がりやすく、かけた直後は強くても、持続性の悪いパーマになりますので、PPTなどでのプレトリートメントが必要です。
 硬毛や撥水性毛やレジスタンスヘアなどにはチオグリコール酸濃度の高いもの、アルカリの量の多いもの、ぺーハーの高いものなどを使います。このような毛髪はシスチン含有率も多く弾力のあるウェーブができ、持ちの良いパーマになります。
損傷している毛髪には、間接法(水巻き)でワインディングする場合もありますが、毛髪の状態を改良して毛質を均一にするプレトリートメントをしてからワインディングすることが必要です。
 その他にはパーマは化学反応ですから、時間や薬剤の温度や室温などの温度管理も大切です。
(全理連名誉講師 板羽忠徳)

参考資料
●パーマネント・ウエーブ用剤の種類
 パーマネント・ウエーブ用剤品質規格では、現在10種類のパーマネント・ウエーブ用剤があり、効能・効果、有効成分、浴式、操作温度の組合せによりいろいろなタイプのものが市場に出ています。
 1剤は効能・効果としてウエーブ形成用と縮毛矯正用に、有効成分の種類ではチオグリコール酸系とシスティン系に、浴式では1浴式、2浴式に、そして操作温度ではコールド式と加温式、用事調整発熱式、高温整髪用アイロン使用に分かれ、さらにペーハーも酸性、中性、アルカリ性のものがあります。
 2剤は同一規格となり、1浴式を除く全ての1剤に共通する2剤が使用でき、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムを主剤とするものと、過酸化水素水を主剤にするものがあります。
 さらにはメーカーは添加剤を変化させることにより、いろいろな特徴を持たせたパーマ剤をつくり、様々な髪質に対応できるものを発売しています。
●強くかけて欲しい
お客様の要望にはあいまいな表現が多いため、的確な判断をしないと要望と違う不満足な結果になることがあります。
 カットで「普通」というのが世間一般の人が行っている状態なのか、お客様がいつもやっている状態なのか……と迷うように、パーマで「強くかけて欲しい」とは持ちの良いウェーブを言っているのか、細かなウェーブやカールのことなのか、大きなウェーブでしっかりかけて欲しいのか……、お客様の真意を理解することが大切です。

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